なぜ、パーキンソン病の方は歩けなくても階段は使えるか?

パーキンソン病と階段
パーキンソン病は歩けなくても階段は使える

パーキンソン病と大脳と小脳の違い

カラダや筋肉は脳が制御しています。脳は大きく分けて大脳と小脳に分かれています。

初めて行う動きは大脳が制御しておこないます。繰り返して行って慣れると小脳が制御するようになり早く動けるようになります。つまり、はじめての動きのときに使う筋肉群、使うタイミングのデータは大脳が考えるのです。

データができると、そのデータを基に小脳で制御するようになります。小脳で制御すると正確に早くできるようになります。(理化学研究所の名誉顧問 小脳の世界的権威 伊藤正男先生の世界的な論文)

わかりやすく書くと、「無意識で行っている動作は小脳、意識して動く場合は大脳が主に制御」しています。

例)無意識にコーヒーカップを手でつかむときの腕は小脳が制御しています。

小脳が歩行を制御する

歩行は小脳が制御していることは猫の実験などで明らかになっています。

「大脳を薬殺した猫をトレッドミルに乗せると歩けた」という有名な実験があります。

人間が歩きながら考えごとをできるのは、歩行時には大脳を使っていないからなのです。

大脳が階段の昇降は制御する

階段は高さを考えながら足を上げる必要があります。

そのため大脳が制御に関係しています。

パーキンソン病の方は歩行は難しくても、走ることができます。自転車にも乗れる理由です。

パーキンソン病で、すくみ足の方は自転車を降りた途端に歩けなくなります。でも、床にテープなどで線を引くとすくみ足の方も歩きやすくなります。

線が見えるので大脳が歩幅を考えるから?と考察しています。

パーキンソン病で手が震えるなどの症状の一部は小脳の機能低下時の症状

パーキンソン病の振戦などの症状は原因不明とされています。あるいは昔から医学的には本態性振戦ということばがあります。原因不明の震えの場合に付けられます。

振戦にもいくつか原因がありますが、意識して動かそうとすると振戦が止まり、意識を抜くと振戦が始まる方もいます。

このようなケースは、無意識時の小脳の制御データが間違っており、間違った制御信号を出すので手が震えると考えて対処しています。手の振戦は末端なので難しいのですが、脳と筋肉の制御系が正常になると、手の振戦が消えるケースは少なくありません。